住宅ローンの「月々の返済額」を先に決めると、家づくりの迷いが減る理由

スマイバディ編集部 読了 6分
夏の朝の食卓で、夫婦がノートと電卓を前に住宅ローンの返済額を一緒に考えている手元
返済額は、借りられる額より先に決める(※イメージ)
この記事の結論

住宅ローンは「借入可能額」ではなく「毎月いくらなら無理なく返済できるか」を先に決めることが重要。手取り月収から固定費を引いた残額をもとに返済許容額を設定し、そこから借入総額を逆算することで、家づくりの予算と優先順位が明確になる。

要点

  • 金融機関の「借入可能額」は生活費の実態を反映しておらず、「審査が通る額」と「無理なく払い続けられる額」は必ずしも一致しない
  • 手取り月収から住居費以外の固定費を引いた「残せる額」をもとに返済許容額を決め、そこから借入上限と総予算を逆算する3ステップが有効
  • 予算額だけでなく「性能・間取り・設備・デザイン」の優先順位を事前に言語化しておくと、工務店との打ち合わせが具体的かつ効率的になる

「いくら借りられる?」より「毎月いくらなら続けられる?」が先

「そもそも、いくらの家が建てられるんだろう?」——家づくりを考え始めた瞬間、多くの方がこの問いに行き詰まります。仮審査を通すと思ったより大きな数字が返ってきて、それをそのまま「建てていい予算」と受け取ってしまう。そこから家計が少しずつ窮屈になっていく、というのはよくある流れです。

金融機関が計算する「借入可能額」は、年収に対して一定の割合で算出されるものです。毎月の食費・子どもの習い事代・車の維持費・将来の教育費積立——そういった生活の実態は、その計算には含まれていません。「審査が通る額」と「無理なく払い続けられる額」は、必ずしも同じではありません。

住宅金融支援機構が公表している「2023年度 フラット35利用者調査」によると、注文住宅を建てた方の返済負担率(月の返済額が月収に占める割合)の平均はおおむね24〜25%前後で推移しています(出典:住宅金融支援機構「2023年度 フラット35利用者調査」)。ただしこれは「実際に借りた人の平均値」であって、「この割合なら安心」という推奨値ではありません。生活費の構成によって、適切な水準はまったく変わります。

まず今日できる小さな確認として、こんな問いかけをしてみてください。

「今、毎月いくらを住居費(家賃+駐車場代+光熱費)に使っていますか?」

この数字が、月々の返済額を考えるときのスタート地点になります。


返済負担率の「目安」を自分の数字で確認する3ステップ

「返済負担率」とは、シンプルに言えば「月の返済額が、手取り月収の何%にあたるか」を示す数字です。難しく考える必要はありません。

たとえば手取り月収が30万円で毎月の返済額が9万円なら、返済負担率は30%になります。

国土交通省・住宅金融支援機構の公開している審査基準の参考値として、年収400万円未満の方は返済負担率30%以下、年収400万円以上の方は35%以下が一般的に示されています(出典:国土交通省・住宅金融支援機構の公開基準を参照)。ただしこれはあくまで「審査が通るかどうか」の参考値です。審査が通ることと、毎月の返済を無理なく続けられることは、別の観点から考える必要があります。

自分の数字を確認するには、次の3ステップで整理してみましょう。

  • ステップ1:今の手取り月収を書き出す
    税引き後・社会保険料引き後の、実際に口座に入る金額を確認します。

  • ステップ2:住居費以外の固定費を引いた「残せる額」を出す
    教育費の積立・生命保険・車のローンや維持費など、毎月必ずかかる支出を手取りから引きます。教育費の目安は文部科学省「子供の学習費調査」や日本政策金融公庫「教育費負担の実態調査」、老後の備えは金融庁・厚生労働省の公開資料で傾向を確認できます。「まだ先の話」と空白にしておくと後から計画が変わりやすいため、ざっくりでも仮置きしておくと安心です。

  • ステップ3:残せる額のうち、住居費に充てられる上限を設定する
    ステップ2で出た「残せる額」を見ながら、「ここまでなら住居費に使える」という上限を自分で決めます。この金額が、月々の返済許容額になります。


月々の返済額が決まったら「総予算」を逆算する

月々の返済許容額が決まれば、そこから「いくらまで借りられるか」を逆算できます。

借入期間(多くの場合35年が上限)と金利の目安を組み合わせることで、借入総額のおおよその上限が見えてきます。変動金利・固定金利ともに市場水準は時期によって変動するため、最新の金利情報は各金融機関や住宅金融支援機構の公表資料でご確認ください。また、将来の金利変動は予測できないため、シミュレーションは現在の金利だけでなく、金利が上昇した場合のシナリオも合わせて試算しておくことが一般的に推奨されています。

総予算 = 自己資金 + 借入上限の逆算値

自己資金を考えるときに見落としがちなのが「諸費用」です。登記費用・ローン手数料・火災保険料などをまとめた諸費用は、物件価格の5〜10%程度が目安になることが多いとされています。頭金だけでなく、諸費用分も手元に残しておく必要があります。

総予算が見えてきたら、次の3つへの配分を考えます。

  • 建物費用(本体工事費+付帯工事費)
  • 土地費用(すでに土地をお持ちの場合は不要)
  • 諸費用(登記・税金・ローン関連費用など)

土地をすでにお持ちの方は建物費用に集中できますが、土地探しから始める方は土地費用との兼ね合いで建物予算が変わります。全国的な諸費用の割合の傾向は、国土交通省「住宅市場動向調査」などで確認できます(出典:国土交通省「住宅市場動向調査」)。


予算の「優先順位」を言語化しておくと、工務店との話が早い

予算の枠が決まったとき、工務店に「予算は○○万円です」とだけ伝えても、提案はなかなか絞り込めません。工務店が本当に知りたいのは、「何を大切にして、何は妥協できるか」という優先順位です。

たとえば、次の4つの軸で「こだわりたい/標準でよい/削減してもよい」を仮置きしてみてください。

軸 こだわりたい 標準でよい 削減してもよい
性能(断熱・耐震) ☑
間取り・広さ ☑
設備・仕様(キッチン・浴室など) ☑
外観・デザイン ☑

これはあくまで例ですが、「譲れないもの」と「削れるもの」を事前に整理しておくだけで、打ち合わせの時間がより有効になります。

スマイバディでは、工務店に会いに行く前にLINEでのヒアリングを通じて、こうした要望や優先順位の整理をいっしょに行っています。整理した内容は工務店側にあらかじめ共有された状態で初回の打ち合わせに臨める仕組みになっているため、初回から具体的な話に入りやすいとご好評いただいています。

「予算を決めてから工務店に会いに行く」という順番を踏むことで、打ち合わせの内容が整理されやすくなり、家づくりの迷いが自然と減っていきます。順番を整えるだけで、同じ時間がずっと有効に使えるのです。


今のうちに動き出すと、着工スケジュールに余裕が生まれる

年内や年明けの着工を目指すなら、資金計画と工務店選びをできるだけ早い段階で固めておくと、その後のスケジュールに余裕が生まれます。一般的に、資金計画の整理→工務店との打ち合わせ→設計・確認申請→着工という流れには数か月単位の時間がかかることが多いため、早めに動き始めるほど選択肢が広がります。

また、実際の建物を訪ねることで、断熱性能や室内の温熱環境を肌で体感できる機会になります。住み心地を実感してから工務店を選ぶのは、とても合理的な判断材料になります。

まず今日、手帳やスマホのメモに「毎月いくらまでなら返済できるか」という数字を書いてみてください。たったそれだけで、家づくりの解像度がぐっと上がります。

スマイバディのLINEでは、こうした資金計画の整理から気軽にご相談いただけます。あなたのペースに合わせてお話を聞かせてください。


予算や費用の体系についての詳細は、料金ページでご確認いただけます。


よくある質問:返済額を先に決めることへの不安に答える

Q. 返済額を先に決めると、希望の家が建てられなくなるのでは?

A. 予算の枠が明確になることで、工務店はむしろ提案しやすくなります。「この予算の中で、あなたが一番大切にしていることを最大限に実現する」という方向で設計・仕様を組み立てられるからです。枠がないまま話を進めるより、優先度の高い部分にしっかりコストをかけた家づくりができることが多いです。

Q. 変動金利が上がったら、計算が狂わないか心配です。

A. 変動金利の将来の動向を正確に予測することはできません。そのため、返済額のシミュレーションは「現在の金利」「金利が1〜2%上昇した場合」など、複数のシナリオで試算しておくことが一般的に推奨されています。最初から「金利が多少上がっても対応しやすい返済額」を設定しておくことが、長く安心して返済を続けるための考え方のひとつです。

Q. 自己資金が少ないと、予算の逆算ができないのでしょうか?

A. 自己資金が少なくても、「月々いくらまで返済できるか」から借入上限を逆算する手順は変わりません。ただし、自己資金が少ない場合は頭金よりも先に「諸費用分(物件価格の5〜10%程度)」を確保しておくことを優先する考え方が一般的です。まずは月々の返済許容額を決めることから始めてみてください。

まず、試してみる

ご希望の優先順位、一緒に整理しませんか。

LINEでのやりとりから始められます。工務店さんには、整理したご要望をこちらからお伝えします。

よくある質問

返済額を先に決めると、希望の家が建てられなくなるのでは?
予算の枠が明確になることで工務店は提案しやすくなり、優先度の高い部分にしっかりコストをかけた家づくりができることが多い。枠がないまま進めるより希望を実現しやすい。
変動金利が上がったら、計算が狂わないか心配です。
変動金利の将来予測は不可能なため、「現在の金利」「金利が1〜2%上昇した場合」など複数シナリオで試算しておくことが推奨される。最初から金利上昇に対応しやすい返済額を設定しておくことが重要。
自己資金が少ないと、予算の逆算ができないのでしょうか?
自己資金が少なくても「月々いくらまで返済できるか」から借入上限を逆算する手順は変わらない。ただし頭金より先に諸費用分(物件価格の5〜10%程度)を確保しておくことが一般的に推奨される。